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飲食業で20年以上働いた筆者が、為になる労働基準法を解説します!働き方改革関連法でブラック企業をなくしましょう。

労働基準法

労働基準法

労働基準法なんて守られてなくて当たり前。

そんな風潮がはびこった飲食業界。

労働基準法は知っていても、言い出せない環境があり、苦い思いをしながら働いていませんか?

でも時代は変わります。

2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次実施され、違反をすれば罰則を科せられるようになったのです。

働き方改革関連法

飲食業界で働いていくなら、会社や上司から自分を守るため、部下、アルバイトやパートに不当な扱いをしないために、すべての人が労働基準法を知っておく義務があります。

飲食業界で20年以上働いてきた筆者が、飲食業界で働いていくために、知っておくべき労働基準法を、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。

 

ジュンイチ
ジュンイチ
飲食業界で働くなら最低限は知っておくべきです。
この記事でわかること

・労働基準法とは
・就業規則とは
・働き方改革関連法について
・労働時間・残業に関すること
・有給休暇について
・退職について

【基本】労働基準法とは

サービス残業は当たり前、有給って何?といった職場で働いている方もいらっしゃるかも知れませんが、会社と従業員は労働契約をむすんでいる関係であって、従業員は労働者であってボランティアではありません。

うちはブラック企業だから仕方がない、ではないのです。

一流企業であろうが、小さな町の食堂であろうが、日本で働くすべての労働者は労働基準法という法律によって、保護されています。

国民の権利!

日本は法治国家ですから、会社でどんな規則があっても、労働基準法に反する規則は守る必要はないということを知っておきましょう。

・労働基準法は絶対に守らなければならない法律である
・労働基準法は日本国で働くすべての労働者が対象である

 

労働基準法には罰則も

平気で労働基準法を守らない会社が多数存在するのだから、会社が罰せられることはないと思っていいませんか?

労働基準法には罰則があり、法律違反が認められると、書類送検、逮捕、「○万円以下の懲役、または○万円以下の罰金」という刑が科され、刑務所行きということもありえます。

ジュンイチ
ジュンイチ
実際に書類送検された事例はたくさんあります。

実際に書類送検された一例
・違法な長時間労働
・残業代の不払い
・時間外の割増賃金の不払い
・最低賃金法違反

調査によって違反が認められれば、行政指導という形で注意を受けるわけですが、改善が見られなければ、書類送検の手続きがなされることになります。

ちなみに調査は、従業員による内部告発からはじめることが過半数を占めるようです。

・労働基準局には逮捕権もある
・従業員の内部告発から逮捕に至ることもある

 

会社の就業規則を知っていますか?

就業規則とは、アルバイト、パートを含む従業員が10人以上いる事業場であれば、作成して届け出をする義務がある”会社の規則”です。

労働基準法が会社によって原則と異なる場合は、この就業規則に記載されている必要が多くなります。

イクヨ
イクヨ
よく出てくるので覚えておいてください。

 

そんな就業規則ですが、見たことがありますか?

筆者はいろんな職場を転々としましたが、ちゃんとした就業規則は、一度も見たことがありません。

本来は”従業員がいつでも見ることができる状態”でなければいけません。

従業員に見せるということが重要なので、たとえ就業規則があったとしても、見ることができる状況になかったのなら、規則に従うことを拒否することもできることがあります。

・従業員が10人以上いれば、会社は就業規則を作る義務がある
・就業規則は従業員が見れる状態になければ効力はない

 

就業規則には必ず記載しなければいけない項目があります。

・労働時間、休憩、休日、休暇について
・給料について
・退職・解雇について

自分の労働時間と休憩は何時から何時までなのか、休日は年に何回あるのか、有給休暇はどうか。

女性なら産前産後休暇、生理休暇などの規則はどうなっているのかも気になりますよね。

給料の内訳や手当の計算方法、退職の届け出の決まりや、解雇の条件なども確認できます。

他にも、ボーナスや退職金制度があれば、その項目に対しての説明が必要ですし、それ以外での契約に関する規則は、記載する義務があります。

・就業規則には必ず記載しなければならない項目がある

 

働き方改革関連法について

「世の中が変わってきたので、それに合わせて労働基準法も改正しようね。」というのが、2019年4月から施行されている「働き方改革関連法」です。

これまでも労働基準法はあったのですが、悪しき習慣によって守られずに、労働者が不利な場合が多くありました。

ジュンイチ
ジュンイチ
飲食業界は特にひどい。

 

ブラック企業による過労死や自殺問題、派遣問題に育児休暇など、昔にはなかった問題も増えてきたので、新しく変えていこうというわけです。

・働き方改革関連法は労働基準法の改善策である

 

大企業と中小企業では施行時期が異なる

働き方改革関連法は2019年の4月1日から施行され始めたわけですが、一部に関しては時期が遅れて施行されるものがあります。

イクヨ
イクヨ
急に施行すると中小企業は会社がまわらなくなってしまうから、猶予期間をあたえられているわけね。

ご自分が働いている会社が、大企業なのか中小企業なのかは、だいたい規模でわかると思うのですが、把握しておく必要があるわけです。

 

中小企業のサービス業の定義は、資本金が5千万円以下または、従業員の数が100人以下となりますので、資本金が5千万1円以上、もしくは従業員の数が101人以上であれば、大企業ということになります。

ジュンイチ
ジュンイチ
アルバイトやパートも基本的には従業員とみなされます。
中小企業 資本金5千万円以下、または従業員100人以下

どちらか一方、もしくは両方とも当てはまらなければ大企業。

・大企業と中小企業によって、働き方改革関連法の施行時期が異なることがある。

 

労働時間について

時間外労働の説明画像
画像引用:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 – 厚生労働省

 

労働時間には基本となる決まりがあります。

労働時間の原則:1週40時間、1日8時間

ジュンイチ
ジュンイチ
労働時間=拘束時間-休憩時間です。

これ以上働く場合には、会社と労働者との間に「労使協定」が結ばれている必要があります。

会社側と労働者側の代表で話し合い”労働基準法の例外(残業すること)に合意する”ということです。

イクヨ
イクヨ
労使協定は36サブロク協定ともいいます。

つまり労使協定があるから残業が可能になるわけですが、逆に労使協定が結ばれていないのに、残業をさせると罰せられることになります。

従業員が10人未満の飲食店は「特例事業場」といって、労働時間の原則が1日8時間、週44時間までとなります。

 

休憩時間とは

休憩時間に予約などの電話がかかってきて、それに出なければならないなら、たとえ体を休めていても休憩時間に当たりません。

ジュンイチ
ジュンイチ
労働が課されることのない時間が休憩時間です。

とはいっても完全に自由にしてもいいというわけではなく、就業規則で定められていれば、外出時に許可がいる場合などがあります。

休憩時間は、6時間以上働けば45分以上、8時間以上なら60分以上を与えることが上限となっていて、回数や時間が多い分には制限がないので、拘束時間が長くなってしまうことがありますが、それは違法にはなりません。

また準備や方付け、制服に着替える時間など、業務に関わることは、労働時間となります。

休日は基本的には週に1回

週休二日制が当たり前になった世の中ですが、飲食業界で働いていると週に1回しか休みが取れないという人も多いと思います。

このあたりは労働基準法で、どれくらい保護されているのでしょうか。

実は法律では年間の休日数についての決まりはありません。

ただし週に1回以上の休日を与えなければいけない規定がります。

それを計算すると、休日は週に1日、年に52日与えればいいということになります。

1年(365日)÷1週(7日)=52日

 

では10連勤、20連勤することが違法なのかというと、そうとも言い切れません。

なぜなら週に1日の休日が難しければ、例外として4週に4日の変形休日制でもいいことになっているからです。

週に1日、もしくは4週で4日

その場合、休みをどこに置くのかは決まりがないので、4週(28日)の最後に4日をもってくれば、最大で24連勤が可能となるわけです。

ただしこれはあくまでも例外なので、就業規則などで徹底して従業員に周知させていなければいけません。

休日手当

みんなが休むゴールデンウィークやお盆に正月、忙しいから休めないというのは飲食業界にありがちですよね。

筆者も正月やGWの休みをなくされた上に、割増賃金どころか給料はいつも通りということがしょっちゅうありました。

でも就業規則に記載がなければ、週に1回の休みは原則ですし、法に定められた休みが減らされた場合には、代休と割増賃金の時給(時給×1.35)をもらわなければいけません。

ちょっとややこしいのですが、前日までに振替日が特定されれば、代休ではなく振替休日となって、割増賃金を払う必要はないのですが、休日の変更も就業規則に記載されていることが条件となります。

残業について

労働時間については少し話しましたが、原則は週に40時間、1日8時間となっています。

労使協定(36協定)を結ぶことで時間外労働、すなわち残業することを受け入れたということになりますが、働いた分だけ時給を増やすというわけではありません。

残業代は、給料を時給換算した場合の時給に1.25をかけた額です。

時給が1,000円なら時給×0.25がプラスされ、1,250円×労働時間が残業代ということになります。

また深夜(22時~翌朝5時)には、さらに0.25プラスされるので、時給×1.5になり、1,500円×労働時間が残業代になります。

変形労働時間制

残業をするには、変形労働時間制が適用されることになるわけですが、変形労働時間制には、週、月、年の単位を決める必要があり、それぞれ条件が異なります。

どれに当てはまるかは、就業規則または労使協定に定め、労働基準監督署への届が必要となります。

たとえば変形労働時間制を週単位に定めている場合は、実施する前の週までに従業員に通知する義務がありますし、1日の労働時間が10時間までと決まっています。

 

月単位で定めている場合、週に40時間を月で考えることになります。

4週なら40時間×4週(28日)=160時間

月だと30日ある月で171時間、31日の月だと177時間を超えた分が、残業代となるわけです。

 

さらに年単位も、基本的には同じように考えます。

1年(52.14週)×週40時間=2,085時間

2,085時間以内なら残業は払わなくていいことになります。

残業時間の上限

しつこく言いますが、残業はいかなる場合でも36協定を結んで、労働基準監督署に届けている必要があります。

その上での残業の限度時間は
1週間:15時間
2週間:27時間
4週間:43時間
1か月:45時間
2か月:81時間
3カ月:120時間
1年:360時間

※1年単位の変形労働時間制の場合は、1か月45時間、1年320時間が限度時間

勘違いしてはいけないのが、1週間の残業の限度時間が15時間だからといって、2週間で30時間というわけではありません。

1週間目に15時間の残業があったとしたら、2週間目の残業限度時間は27時間-15時間で、12時間ということです。

1年で360時間までに抑えなければいけません。

ジュンイチ
ジュンイチ
残業が認められている時間は、平均すると月に30時間ということです。

残業は月に45時間、年に360時間までが原則

残業が月100時間未満になる特別条項とは

残業が認められるのは、月に45時間、年間で360時間と説明したばかりですが、特別な場合に限り、その約2倍の、月に100時間未満、年間720時間までの残業が認められる”特別条項”というものがあります。

1か月の限度時間が100時間未満で、2カ月以上利用する場合は、平均を80時間以内にする必要があり、年に6回(6カ月)までが限度になります。

 

1年の残業の限度時間

1回利用した場合
1か月:99時間 11カ月は通常の45時間
544時間

6回利用した場合
6カ月:80時間×6=480時間
残り6カ月は通常:45時間×6=270時間
足すと750時間になりますが、上限の720時間に調整しなければいけません。

 

特別条項は特別な場合(突発的、臨時的)にのみ利用できる制度であって、「忙しくなりそう」だとか、会社側が「残業枠に余裕を持っておきたい」といった曖昧な理由は対象になりません。

度々の説明になりますが、特別条項を利用するためには、その為の36協定を結んでおく必要があります。

会社が決めた内容に、従業員代表が同意した書類を労働基準監督署に提出することが前提となり、労働基準監督署の厳しいチェックが入ります。

さらに月に100時間、2~6カ月の平均残業時間が80時間を超えた場合には、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられるようになりました。(※中小企業は2020年4月1日より)

店長だって残業は認められる!?

店長は管理職だから、残業代は役職手当に含まれていると思っていませんか?

飲食店ではありがちな話ですよね。

たしかにそういった管理職に対する特例はあるのですが、そういった人は経営者と同じような立場にある人であって、給料もそれなりにもらっている人を指します。

たんに役職を付けても、管理職として認められることはほぼありませんので、他の従業員と同じように、残業代や有給休暇等を請求することができます。

店長=管理職ではないのです。

残業代よりも役職手当の方が少ない場合などは尚更です。

労働時間の把握

2019年4月に「労働時間の把握義務」が労働安全衛生法によって定められました。

労働時間を把握するために、タイムカードやパソコンなどでのログイン、ログアウトが使われていると思いますが、実際の労働時間と異なる場合には、いざというときに従業員による毎日のメモが証拠として有効になる場合があります。

本来は時間単位、15分単位などではなく、分単位で労働時間を計算しなければいけないことも頭に入れておきましょう。

有給休暇について

飲食業界で働いていたら、有給休暇なんてもらったことがないという人も多いかも知れませんが、2019年の4月から、有給を取得した日から1年以内に5日は取らせなければならないことが会社に義務付けされました。

それまでは申し出があったのに取らせない場合だけが違反でしたが、法改正後は申し出がなくても取らせないことが違反であり、罰則が科せられるようになったのです。

有給休暇は働き始めて6カ月後に10日、そこから1年毎に既定の日数が付与されていきます。

勤続年数 6カ月 1年
6カ月
2年
6カ月
3年
6カ月
4年
6カ月
5年
6カ月
6年
6カ月
日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

※パート、アルバイト、契約社員も、週に5日以上もしくは30時間以上の勤務で同じ条件になり、それ以下の場合は取得できる日数が異なります。(会社が年に5日取らせる義務が生まれるのは、10日を付与されたときからになります。)

 

有給は付与から2年で時効になるので、最大で2年分の休暇を取ることができます。

例)入社後1年6カ月後にはじめて有給休暇をつかうなら、1年以内に21日分の有給休暇を消化することができます。

 

通常は好きな日に有給休暇をとる権利が従業員にはあるのですが、会社側が通常な運営ができなくなる場合には、時期を変更させる権利(時季変更権)があります。

ただし、他の従業員のシフトを変更すれば対応できるような時はこれにあたりません。

また退職する前に有給を申請したら、時季変更権を使える日がないので、基本的にはそのまま取得できることになりますが、有給休暇の取得に関して、従業員側が不利になる規則が就業規則に記載されている場合もあるので、就業規則があれば確認しておいた方がいいでしょう。

退職について

最後に退職について、飲食業界でよく問題になる二点だけ説明しておきます。

退職の申し出と解雇予告についてです。

退職の申し出とは、いつまでに退職することを伝えればいいのかということです。

職場が嫌だから辞めたい場合など、伝えてからできるだけ顔を合わせたくなかったり、いろいろありますよね。

結論をいうと14日前に申し出れば、14日後に退職することができます。

有給休暇のところでも話しましたが、有給が14日以上あるのであれば、法的には「明日から有給を使いたい」と申請して、あとは有給を消化するだけということも可能になります。

たとえ就業規則に1か月前に申し出ることと記載されていたとしても、法律が優先されるので従う必要はありませんが、コミュニケーションがとれている職場なら、できるだけ早めに申し出てあげた方が、しこりも残らなくていいかも知れませんね。

逆に解雇予告を受ける場合は、どうなっているかというと、解雇は30日前に予告しなけらばいけないことになっています。

もし突然「明日から来なくていい」と言われたとしたら、平均賃金の30日分を解雇予告手当としてもらう権利が発生しますが、従業員があまりにも常識に外れたことをした場合などには、労働基準監督署の認定があれば解雇予告手当なしに即日解雇することも可能です。

飲食で働くなら知っておくべき労働基準法まとめ

飲食業界を転々と20年以上働いた筆者が、働きながら抱えていた問題などをもとに、2019年4月から施行された「働き方改革関連法」を含めて、労働基準法について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

最後に要点をまとめておさらいしたいと思います。

労働基準法とは、すべての労働者を保護するための法律なので、必ず守らなければいけませんし、違反すれば罰則もあります。

就業規則は労働基準法に基づいた会社での取り決めであって、必ず従業員に周知させなければならないし、させてなければ意味がありません。(※10人未満の事業場をのぞく)

③2019年4月からの働き方改革関連法によって、より労働者が保護されるように労働基準法が改正されました。

労働時間の原則は、週40時間、1日8時間までで、それを超える場合は残業となり36協定(会社側と従業員側の条約)がむすばれてないと超えてはいけない。

休憩は6時間労働で45分以上、8時間以上の労働で1時間以上与えないといけないが、電話番などをさせると休憩を与えたことにならない。

休日は週に1日、もしくは4週で4日以上与えなければならず、働かせた場合は割増賃金(時給×1.35)で支払わなければいけない。

残業は必ず36協定を結び、通常の時給×1.25の額で支払い、深夜(22時~翌朝5時)の場合は時給×0.25がプラスされる。

⑧残業の変形労働時間制は、週、月、年をそれぞれ単位とする条件がある。

残業の原則は月に45時間、年に360時間までで、特別条項で月に100時間未満、年間720時間まで認められることもある。

店長などの役職があっても、「管理職だから残業代はいらない」は認められないことがほとんどである。

⑪労働時間の把握(タイムカードやパソコンのログ)は会社の義務である。

有給休暇は年に5日取らせなければ、違反で罰則がある。

退職の申し出は14日前まで、解雇予告は30日前まである。

※最新の信頼できる資料を参考にしましたが、解釈の違いや書き損じがある可能性がありますので、最終的な確認は「労働基準法」または各自の判断でお願いします。

 

最後に飲食店で働く皆様へ

筆者はほんの数年前まで飲食店で働いていましたが、まさにブラック企業でした。

料理がしたい、接客がしたいという純粋な気持ちで始めたはずなのに、会社がブラック企業ばかりだったので、まともに生活もできませんし、精神的にもよくありませんでした。

ですが、やっと飲食業界もよくなっていく兆しが見えてきました。

会社の言いなりになるのが頑張っている人という、おかしな風潮がありましたが、飲食業を誇りをもって働ける職業にするためにも、労働基準法を正しく守らなければいけません。

この記事が、そんなことを考えるきっかけになってもらえたら幸いです。