「飲食業で働く人って底辺でしょ。」
インターネットを見ていると、そんな心無い言葉を目にすることがありますよね。
掲示板のネタにされているのを、見かけることもしばしばあります。
労働時間が長いから?
それとも給料が安いから?
そんな理由があげられがちですが、本当の理由は違います。
夢も希望も持たずに、ブラック企業に搾取され、タダ働きにも文句を言わずに、働き続けているからです。
問題は職業ではなく、働く姿勢にあるのです。
心当たりはありませんか?
なぜ飲食業は「底辺」だといわれるのか?

※画像元:ヤフー知恵袋より
「職業に貴賎なし」とはよく言ったものですが、それも昔の話。
匿名で本音が言えるインターネットをみれば、飲食業で働く人のことを「底辺」と認識している人が、少なからずいることがわかります。
自分で選んだ職業をそんなふうに言われたら、悲しくなりますよね。
世間から底辺といわれる仕事に就いている、配偶者や子供などの家族まで侮辱されている気持にもなるでしょう。
ではそもそもなぜ飲食業は「底辺職」と見られがちなのでしょうか?
飲食業は入社しやすい

飲食業で働くには、学歴や資格などを重視されることは、ほとんどないといってもいいでしょう。
特に料理人の場合は、中卒であっても腕があれば問題ありません。
経験が優遇されるわけですが、未経験者でも参入しやすい職場でもあります。
つまり業種にもよりますが、間口が広いので、いろんな人が入ってきやすいということです。
未経験者から、他に雇ってくれるところがない人まで。
そうなると、厳しい面接に受からないと入れないような職業に比べて、いろんな意味でレベルが低くなるのは、当然ですよね。
アルバイト経験者が多い

誰しもが学生の頃に、いちどや二度は、飲食店でアルバイトの経験があるのではないでしょうか?
その時の社員の、イメージが悪いとどうでしょう。
筆者が学生の頃に働いていた飲食店の社員は、みんなギャンブルと女遊びばかりしていました。
仲は良く楽しかったので、それが悪いとはいいませんが、客観的にみると生活レベルが高いとは言えないですよね。
こども目線だと、面白い大人であっても、自分が大人になると、だらしがない生活をしているようにしか見えなくなります。
かなりの割合の人が、飲食店でアルバイトを経験しているので、その時のイメージが悪いという人も多いのでしょう。
飲食で働く人を見下したい

人は自分に自信がないと、自分よりも境遇のレベルが下の人を見て安心しようとすることがあります。
そこでわかりやすいのが、飲食業ですよね。
飲食業の労働条件が悪いことは、世の中の常識ですから、手っ取り早く見下すには、ちょうどいい職業なのです。
・給料が安い
・労働時間が長い
・休みが少ない
サービス業の中でも、悪い条件がすべて揃っているのが飲食業なのです。
労働条件が悪すぎる

労働条件が悪いので、掲示板でもSNSでも、ヤフー知恵袋などのようなサイトでも、愚痴や相談が多くみられます。
最近では大手の「大戸屋ホールディングス」が、テレビ番組の「ガイアの夜明け」に密着取材をされた様子が、ブラック過ぎると大炎上するなどの騒ぎもありました。
他にもニュースなどで「働き方改革関連法」の例として、飲食業が取り上げられることも多いわけです。
ここまでくると、何も知らない人でも、飲食業の人とは関わらない方がいいという潜在意識が出来上がってしまいますよね。
飲食業が底辺といわれる本当の理由とは?

人間の三大欲求のひとつである、食欲を満たしてくれる飲食店。
自分で材料を買って、時間をかけて料理しなくても、手軽な値段で美味しい料理を提供してくれます。
誰にとっても身近で絶対に必要なのだから、社会貢献度も大きいはず。
どんな理由があれ「底辺」扱いされるというのは、おかしな話ですよね?
でも実は、飲食業、または飲食店で社員として働く人が「底辺」といわれる本当の理由は、労働条件の悪さや、環境やイメージからくるものではありません。
その証拠に、一流の料理人や、自分の店を持って独立を成功させた人や、仕事が好きで働いている人のことを、誰も「底辺」とは思いません。

なんなら、カッコいいとさえ思い、憧れのまなざしで見てしまうのではないでしょうか?
もちろんそういった人本人も、自分が「底辺」だなんて考えてもいないでしょう。
つまり飲食業で働いていて、世間の「飲食は底辺」という言葉が気になるのは、自分が飲食業は底辺の職業だと考えているからではないかということです。
やりがいもなく嫌々働いて、給料は搾取されっぱなしの低賃金。
労働時間がどれだけ長くても、休みが削られても、会社に従うだけ。
そんな、ブラック企業に飼いならされたような職場なら、底辺だと言われても仕方がないような気がしないでもないですよね。
世の中には心無いことばで人を傷つける人もいますが、それが気になるということは、自分でも多少なりとも、そう感じているからじゃないでしょうか?
筆者は、飲食業を転々としてきましたが、たとえブラック企業であれ、自分の目的にあった職場では、自分が「底辺」だと思うことはありませんでした。
やりがいなく働いているサラリーマンが、かわいそうに思うことさえあったのです。
ですが、逆に目的もなく将来も見えないような職場では、自分自身でもこれ以上ない「底辺」だと感じていたものです。
つまり大事なのは、人がどうこう言おうが、自分が目的を持って、将来を見据えて働くことです。
それが出来ていれば、その人のことを底辺と思う人はいないし、自分を惨めに感じることもなく、誇りをもって働くことができるでしょう。
まとめ

飲食業は、決して底辺といわれるような職業ではありません。
「飲食業は底辺」などというコメントを、世の中に発信しているような人こそ、人を見下さないと生きることができない、傷つく人がいることに気付かない、レベルの低い人間です。
ですが、もしあなた自身が飲食業を底辺だと感じているのなら、それは飲食という職業ではなく、やりがいや向上心を持たずに働いているあなた自身や、それを発揮できない職場の環境に問題があるのかも知れません。
いちど働き方や、労働条件などに付いて考えてみてはいかがでしょうか。
完全に理想の職場で働くことができるかどうかはわかりませんが、理想に一歩でも二歩でも近づくことは、転職活動の努力次第でできるはずです。
なんとなく働いていても、目的がなければゴールは見えてきませんよ。